田んぼダムは、水田地域に降った雨を一時的に田んぼに貯留して、
ゆっくり水路に排出することによって、下流の河川に流出する流量の
ピークを抑制する工夫です。比較的簡易な装置を付加することで、
広く、浅く面的な一時貯留機能をはたす田んぼダムは、水田地域に
大雨が降るようなケースで一定の効果を発揮するとともに、あわせて
河川流域の洪水リスクを軽減するための上下流連携推進のシンボルとして、
同じ流域に暮らす人々の連帯意識を高める効用も期待できます。
【田んぼダムで洪水防げ 東京ドーム90杯分のゲリラ豪雨に対応】
(毎日新聞電子版 2023年6月5日配信記事より)
近年多発する豪雨災害。その対策として、一時的に田んぼに雨水を
ためることで民家の浸水などの低減を図る「田んぼダム」が広まりつつある。
農林水産省によると、これまでに全国各地で整備されたのは約5・6万
ヘクタール。東京ドーム約90杯分の雨水を一時的にためることができる
計算だ。農水省は2025年までに10万ヘクタールに拡大する目標で、
農家などに協力を呼び掛けている。
田んぼダムは、田んぼの貯水機能を利用し、大雨による洪水被害を
低減する取り組みで、02年に新潟県で始まった。主な整備は田んぼの
排水口に排水管より小さな穴の開いた調整板などを取り付けるだけ。
基本的に操作不要で、そのままにしておけばいい。田んぼにたまった
雨水をゆっくりと排出することで、水路や河川の水位上昇を抑え、
下流域の市街地などにあふれる水の量や範囲を少なくする。特に
ゲリラ豪雨での効果が高いという。 (以下略)